2001年宇宙の旅 アーサー・C・クラーク
SFの古典。映画が先行した作品だけど小説も1968年に刊行。古いけど古くない。今でも読める。そして飽きずにグイグイ読める。
人類の祖先である<ヒトザル>はとても弱い生き物でいつも外敵におびえながら暮らしている。ところがある日黒い板(モノリス)を見つけたときから道具の使い方を覚えて他の生物を狩る存在になっていく。そんな<ヒトザル>の気持ちがこんな風に描写される。
いっとき<月を見るもの>は、死骸のそばにおぼつかなげに立ち、死んだ豹がまた生き物を殺すという、すばらしくもまた不思議なできごとの意味を推し測ろうとしていた。世界は今や彼の意のままだが、さて何をするかとなると、決心がつかないのだった。
だた、そのうち思いつくだろう。
突然世界を制する道具を与えられたとしてもそれを使うの者は急に進化しない。きっかけは進化の起因となるけどそれはゆっくりと時間をかけて進んでいくものなのかもしれない。現に私たち人類は今やっと宇宙に進出するステージまで来ているけれどそこに至るまではとてもたくさんの時間がかかっている。
導入はさておき本編は人類が宇宙に進出し月面で300万年前に埋められたモノリスを発見したところから始まる。高度な技術で作成されたモノリスは人類意外の知的生命体の存在を示唆する。彼らがモノリスを月面に埋めた理由はなんなのか。一方、宇宙船ディスカバリー号が土星探索に向けて出発して旅を重ねていくが途中で事件が起こりモノリスの発見と事件の関係が明らかになっていく...
読み進めてみると話の筋やオチは今まで映画や漫画、アニメなどで語りつくされ繰り返されてきたもの。だけど実はそれらの作品がこの作品をオマージュしてきたのだと気付く。ストーリやアイデアが普遍化されて以降の作品に影響を与えていく。やはり古典はすごいと思う。