ポコあポコ

タイトルは学生時代に読んでいた小道迷子さんの競馬の4コマまんがから頂きました。登場するゆるくて憎めないキャラクターが良いです。

時効について

www3.nhk.or.jp

国民年金の延滞金が4億7000万円。そのうち1億7000万円が時効で回収できないとのこと。普段のコミュニケーションにおいて冗談で時効という言葉を持ち出すことはあるけれどそれが1億7000万円の実害につながると冗談で済まない。

 

なぜ時効という法律が存在するのか

 時効によって過失が正当化される。加害者が逃げ切って被害者が損する。なぜこのような不人情な法律があるのかWikiやYahoo知恵袋で調べたところ私の解釈だと以下らしい。

時効 - Wikipedia

  • 過失があっても一定期間権利を請求されないとその状態が前提で新しい事実が形成されていく。つまりその過失自体が後付け的に正当化される。
  • たとえ正当な権利者であったとしても、一定の期間、その権利を行使・維持するために必要な措置を採らなかった者を保護する必要はないというペナルティ的な考え方。
  • 長期間が経過した後にはそれを立証するのが困難になるため。

 

時効の本質について

 時効について丸山真男は恩師の言葉からこのように考察する。

いま考えてみると、請求する行為によって時効を中断しない限り、たんに自分は債権者であるという位置に安住していると、ついには債権を喪失するというロジックのなかには、一民法の法理にとどまらないきわめて重大な意味がひそんでいるように思われます。

(中略)私たちの社会が自由だ自由だといって、自由であることを祝福している間に、いつの間にかその自由の実質はカラッポになっていないとも限らない。自由は置き物のようにそこにあるのでなく、現実の行使によってだけ守られる、いいかえれば日々自由になろうとすることによって、はじめて自由でありうるということなのです。

日本の思想 丸山真男

自分の立場に立場に甘んじて権利を行使しないとそれが形骸化する。行使して初めて権利が維持される。だから自分の権利を守るために努力するべきという考え方が時効を正当化する。これは説得力がある。

 

時効の効力を断ち切るにはどうすればいいのか

 私たちの社会は善悪の基準が曖昧なためその判断が困難である。これはひとえに人それぞれで善の認識が異なるからだけど権利を主張しない限り自分の善を通すことができない。人から押し付けられた善と自分の善が違うと感じたら自分の権利を見つめ直してみる。正当性があるならば自分の権利を主張するべきだと思う。