ポコあポコ

タイトルは学生時代に読んでいた小道迷子さんの競馬の4コマまんがから頂きました。登場するゆるくて憎めないキャラクターが良いです。

出版社がヤバすぎる

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 とある出版社の社長が図書館に文庫本を貸し出さないで欲しいと訴えたそうな。彼は無料で文庫本を貸し出す図書館を悪と考えているわけだ。もしくは懇願なのかもしれない。
 確かに文庫本の貸出をやめれば出版社の言う通り売り上げは確実に上がる。従来の文庫本を買う人に加え図書館で借りれなくて買おうとする人が流れてくるから。しかし果たして文庫本の貸出中止が本質的な解決になるのだろうか。彼の発言はどうも短絡的すぎるように思う。
 カズオイシグロのようにノーベル賞作家の本は売り切れになるから文庫本の貸出を中止すれば瞬間的に売り上げが伸びるかもしれない。でもそれはかなり限定された場合じゃないだろうか。私が思うに利用者が文庫本に求めるのはエンターテインメント。だから出版社の競合は図書館ではく(例えばSNSやスマフォのゲームなど)他のエンターテインメント産業だと思う。だから図書館の機能を停止しても利用者は他のエンターテインメントに流れるだけで根本的な解決にならない。
 それにお小遣いが少ない学生にとって図書館が果たす役割は大切だと思う。私も小学生の時大変お世話になったけれどその時代に培われた読書の習慣や思想に与えた影響は計り知れないものがある。それなのに今まで営業努力を努力を怠ってきた出版社の我儘が学生の小遣いを巻き上げる。そんなやり方が許されるのだろうか。
 もう少し本を借りる人について考察しようと思う。例えば、ある本の図書館の予約が200人待ちだとしてそこに予約を入れる人はどんな人だろうか。201番目まで待てるなら、

  • とりあえず読みたいけど買ってまで読もうと思わない
  • 本当に読みたいけどお金がない

のどちらかじゃないだろうか。200人待ちを知って諦めて買う人なら今までだって購入しているように思う。つまり、文庫本の貸出中止は決定的なソリューションじゃない。先ほども述べたけど今回の要望は出版社の短期的な経営目標の達成を追い求めた結果じゃないだろうか。出版社の浅はかな都合だとしたら社会的なインフラとして確立している重要な図書館の役割を止めてしまうのはやめてほしい。
 例えばソリューションとして文庫本を電子書籍にして図書館に提供して広告料をとるのはどうだろうか?今の時代スマフォやタブレット、パソコンのいづれかは殆どの人が所有しているからインフラは整っている。利用者もわざわざ本を借りるために図書館まで出かける必要がないためメリットがある。
 どうも出版社というのはレガシーな業界という気がする。今までのやり方をかたくなに変えようとせず自己本位。自分たちの考え方を消費者に押し付けることが当たり前と考えているふしがある。困窮した今こそそれを変えるチャンスじゃなかろうか。