ポコあポコ

タイトルは学生時代に読んでいた小道迷子さんの競馬の4コマまんがから頂きました。登場するゆるくて憎めないキャラクターが良いです。

読書感想 一路

今、一路(著作:浅田次郎)という時代劇小説を読んでいます。

 父親を亡くして家督を継いだばかりの青年が美濃(岐阜県)から江戸まで参勤交代の行列を必死で成功させようとする話。なかなか面白い。浅田次郎を読む人は判ると思うけどお得意の浪花節で泣かせるシーンもいくつか出てきます。

 話の中で行軍中に宿泊する宿の寝所にて小姓がお殿様に軍記を聞かせる話があります。江戸に一大事があれば兵をつれて馳せ参じる大事な行軍において休むときも心得を忘れてはならないためであるという作法によるそうです。しかし、お殿様はそれに反対で面目を気にするからであろう(りっぱな行軍であると見せようとしている)と部下のやりすぎを諭したところ以下のような箴言をうけます。

父はかねがねこう申しておりました。武士の面目は他聞他目にあらず、常に自聞自目に恥ずることなきよう生きよ、と。畏れながら御殿様は、面目とは傍目あってのことと申されました。しかるにそれがしは、武士の面目は傍目に関わりなしと存じまする。

一路 浅田次郎

それを聞いたお殿様は自分はなんと甘いのかと涙を浮かべるのでした。そして最後にある歌が小姓によって読まれて話が閉じます。

行き暮れて 木の下陰を宿とせば 花や今宵の 主ならまし

平家物語

日も暮れてしまって今日は泊まるところがない。木の下を宿とすれば花が宿の主人の代わりに自分をもてなしてくれよう。という意味だと私は解釈しました。

 武も歌も優れた平家の武将が打ち取られたときに残した歌がお殿様のまだまだ至らない心中を引き立てます。さすが浅田次郎。泣かせます。

 ちなみに、この歌を目に入れた時は意味が判らなかった。しかし、意味をググろうとしてキーボードで言葉を打ち込んだ途端に意味が分かった。これってなぜなんでしょうね。視覚的に言葉を理解するよりキーボードで打ち込んだほうが理解が良いてことなんだけど。。。普段でも資料の読解や会話の理解のヒントになりそうです。