ポコあポコ

タイトルは学生時代に読んでいた小道迷子さんの競馬の4コマまんがから頂きました。登場するゆるくて憎めないキャラクターが良いです。

明治から昭和にかけての日本の思想家が面白い

 いつからかずっと昔に復讐は正当化できなくなった。まあ実社会において被害をこうむった場合、その元凶となる人間に周りに判らないように周到に復讐するという行為は細々と残っているけど少なくともそれを表に出しても世間によって正当化されることは少なくなってきたと思う。
 もちろん中東を中心とするテロの非人道的な報復は許される行為ではないけれど、日本古来からある抒情的であったり浪花節的な物語をベースとする復讐というものが現代社会ではそもそも少なくなってきた気がする。

 ところが江戸時代はそうじゃなかった。君主を失った赤穂浪士は少なくとも浄瑠璃や歌舞伎の題材となるくらい民衆から肯定されている。復讐は(その行為自体があってるかは別として)人間の自然な行為なのだと思う。法律で裁いて本当に割り切れる人は少ないのじゃなかろうか。

 話がそれるけど明治から昭和にかけて西洋の思想が輸入された思想が大波乱した時代は面白い。 

いづれにしても、復讐心の根は定かならず、深く伸びて、誰にもこれを辿る事が出来ない。その根は社会の成立とともに古いからだ。復讐といふ言葉の発明は、正義といふ発明と同時であった。
考えるヒント2 小林秀雄 

うーん、すごい。こんな着眼は私にはできない。批評家の小林秀雄政治学者の丸山 眞男は西洋から輸入した思想に壊滅的なダメージを受けもろにそのあおりを受けた。ただ彼らは打ちのめされたが負けなかった。自分たちの思想を練り直し鍛え上げていく。この時代の思想家の本は難しいけど読んでいて驚き、新しい発見が多い。そして本当に面白い。