ポコあポコ

タイトルは学生時代に読んでいた小道迷子さんの競馬の4コマまんがから頂きました。登場するゆるくて憎めないキャラクターが良いです。

越谷オサム いとみち 二の糸

 人の優しさに触れるのが苦手。会社で仕事をしていても自分でなんでもやろうとしたり、人に頼ったりすることが苦手です。そんなときに優しくされてしまうとつい突っぱねてしまう。つくづく不器用な性格だと思う。

 

 いとみちの 二の糸(2巻目)ということで人との付き合い方が不器用な女子高生「いと」を中心としたバイト先や高校生活の後日談的なお話。

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 三味線を弾けるメイドのアルバイトに慣れてきて、仲の良い友達や後輩と写真部の活動を始めて高校生活を楽しむ主人公の女の子「いと」。けれど、ちょっとした会話がきっかけで友達の早苗と喧嘩してしまう。写真部の野外活動で早苗と話せるチャンスがあったのに、

「いとっちもサナに撮ってもらえば?」

美咲の何気ない言葉に、いとは体をこわばらせた。

「あ、わぁ(私)はいい。ほら、山本先生があっちゃでずっと待ってらはんで。 (中略)

  肝心なところで、引っ込み思案な性格が出てしまった。早苗に話しかけるチャンスだったのに、つい逃げてしまった。*1

 引っ込み思案な性格がでて友達とせっかく仲直りするチャンスをそっけない態度で棒に降ってしまう。「いと」のがっかりした気持ちと、なかなか直せない自分の性格に対する自己嫌悪が伝わってくる。

 相変わらず泣き虫だし、知り合いの娘の小学生からも子供扱いされているような気持ちになり落ち込む「いと」が不器用でかわいい。

 だけど「いと」もいつまでも頼りないままじゃない。バイト先で急に三味線を弾くことになったときに、いつもそばでにフォローしてくれる先輩はないけど「いと」は、

いとはマイクをこわごわ口に寄せた。耳のあたりがひどく熱い。考えてみれば、司会不在で演奏をするのはこれが初めてだ。何か、みんなが盛り上がるようなことを言わなければ。

「ええと、あの・・・・・・」期待のこもった眼差しの数々に舞い上がり、いとは自分でも驚くようなことを口走った。「う、歌います!」*2

 心細さをかんじつつも自分で必死に考えて行動していく。そうやって「いと」はバイトや人間関係に悩みつつも前に進んでいく。ついつい見守りたくなってしまう。

 

(総評)「いと」だけでなくそれぞれの登場人物が自分の新しい道に向けて進んでいく話。いとみち1巻を読んで展開に物足りなさ、消化不良感があるなら読んでみても良いかも。

*1:越谷オサム いとみち 二の糸

*2:越谷オサム いとみち 二の糸