読書 いとみち
行きつけの図書館で目当ての本を借りたついでに読み易い小説をネットで検索。越谷オサムが良い感じ。陽だまりの彼女が有名らしいけど在庫がなかったため「いとみち」を借りた。
コテコテの津軽弁でしかコミニュケーションが取れないため中学時代は友達とも会話できずに寡黙になってしまった「いと」という名前の高校生の女の子が自分を変えるためあえて接客業のメイド喫茶で働き始める話。
冒頭で、
ふわりと膨らんだパフスリーブから伸びる二本の細い腕が、津軽三味線の白い胴を体の前で抱きしめている。近世ヨーロッパの使用人の間で用いられた仕事着と、門付け芸を礎に本州の北端で独自の発展を遂げてきた弦楽器の取り合わせは、意外なほど調和がとれていた。
悪ぐねな。
いとみち 著者:越谷オサム
のっけから津軽弁がグイグイくる。 思春期の女子高生と口からでるどっしりした津軽弁がアンバランスでいい。そそります。全体を通して「いと」の不器用さ、思春期ゆえの悩みが心に突き刺ささってくる。
「 おかえりなさいませご、主人様」がどうしても言えず、「お、おけえりなせえまし、ごスずん様」になってしまう不器用な彼女。(彼女は標準語が使えなくて悩んだり努力するけど)それがとてもかわいい。
いとは脚を大きく開き、ジーンズの腿を手のひらで叩いた。
「これだぁ、この脚。こったパカーッと脚開いて、女なのにみっともねじゃ。無理やりでも矯正してくれとったら、わぁは今でも三味線弾いてたはずだぁ。なすてばばは、わぁが小さいうちに矯正してくれなかったんず?」
いとみち 越谷オサム
過去に三味線の発表会で入選したけど、その時の自分の演奏ポーズに愕然として三味線をやめてしまう。 思春期ゆえに悩む彼女。
純粋でけなげ。とてもいじましくて、すぐ泣いてしまう彼女にもらい泣きしそうになる。