ポコあポコ

タイトルは学生時代に読んでいた小道迷子さんの競馬の4コマまんがから頂きました。登場するゆるくて憎めないキャラクターが良いです。

哲学の役割(苫野一徳さんのお話を聞いて 1)

 哲学者の苫野一徳さんのお話を聞く機会がありました。とても興味深い話だったため、私なりに解釈した簡単なメモと、感想を。

ittokutomano.blogspot.jp

 苫野さんによると、「哲学」とはものごとの本質を洞察し、その問題を解くことだそうです。例えば、「ものごと」を、教育(他には社会や、恋愛といった場合もあります)ととらえます。その場合、本質となる、"良い社会を作りだしていくこと"、と問題である、"どのような教育制度を設ければ良いか"、を考えることが「哲学」の役割だそうです。

 また別の視点から、哲学の役割を「宗教」と対比させて、説明していました。「哲学」と「宗教」はどちらも人を救う(すなわち、上でいう問題を解く)ものであるが、そのアプローチが違うそうです。「宗教」は物語(例えば、アダムとイヴ)を受け止める(信仰)ことで、人が救いの道を見つけるのに対し、「哲学」は、今起こっている問題に対して、仮説を立てて、徹底的に検証することで救いの道を見つけるものだそうです。「宗教」に比べて、「哲学」のアプローチのほうが、より当事者意識的で、私としては好ましいですね。

 面白いのが、「宗教」と「哲学」は、歴史的に非常に密接な関係があるそうです。例えば、西欧では、宗教戦争の後に、必ず哲学が発展するそうです。なぜなら、文化・信仰・人種などの違いを超えて人はどこまで仲良く暮らせるのか、を追及できるのが、「哲学」だからだそうです。(余談ですが、あらゆる問題を解決できるはずの「宗教」が原因で、争いが発生するのは皮肉ですね。)

 これは、宗教だけでなく国家間の対立などについても同様のアプローチができそうですが、人と一緒に仕事をする時にも通じる考え方なのかもしれません。そういった、信条とか原理的な対立を、どう解決するかということも、哲学で研究が進んでいるそうです。